無駄してませんか?逆効果も招く飲食店の過剰サービス

過剰サービス アイキャッチ

2017年の流行語大賞が発表となり、『インスタ映え』と『忖度(そんたく)』が選ばれました。『インスタ映え』を求め飲食店に足を運ぶ人、投稿された写真を見て来店する人と、SNSならではの集客も話題になりました。飲食店に追い風!?と言いたい所ですが、悩ましい問題は今年も多々ありました。そのひとつが『過剰サービス』です。働き方改革が叫ばれる今日、飲食店における過剰サービスの是非をケースごとにまとめました。

 

過剰サービスの論点

●度が過ぎているとクレームになるサービスは本当のサービスなのか?
●人手不足が蔓延する飲食業界において過剰サービスは本当に必要か?
●求められる全てのサービスに飲食店は答える必要が本当にあるのか? 

Case1. “過剰” が ”通常” と化している日本人客

過剰な日本人客

今年になって、『過剰サービス』をテーマにしたニュースや番組を一度はご覧になった方も多いと思います。それは海外メディアも伝える程で、2017年5月10日の華字紙・日本新華僑報は日本人の接客は世界でも一二を争うレベルだと伝えるその一方で過剰なサービスはバブルそのものだと報じています。

-中国人留学生の接客を通じて見えたもの-

日本の居酒屋で働く中国人留学生は、勤務態度は真面目なものの万全なサービスとはいえないレベル。にも関わらず中国人スタッフに対する日本人客の反応はいたって寛容であった。これに対し、サービスレベルではるかに上回る日本人スタッフには、少しの間違いにも敏感であり、時にはクレームにまで発展した。

このケースから、サービスの質が上がれば上がる程、期待するサービスの質も高くなる傾向にあるということを海外メディアは指摘しています。過剰サービスの元凶は過剰なサービスに慣れきった日本人客にあると外国人の目には映ったようでした。

 

 

Case2.過剰な価格競争が招く負のスパイラル

デフレーションを表す図

行き過ぎた価格競争も背景の一つとして挙げられます。飲食業界における安易な価格競争は現に深刻なデフレーションを招いており、自ら商品価値を下げる要因にもなっています。また価格だけに留まらず、『質は下げずに、価格は下げろ。』といった矛盾が、労働者を一層苦しめてもいます。

またサービスレベルは世界的にも高い評価を受ける一方で、業界に従事するスタッフはその恩恵を受けきれずにいるのも事実です。本来ホスピタリティの基本は与える側・受ける側が対等であることが原則ですが、与える側のパフォーマンスだけが加速していることが負のスパイラルを招く原因となっているのです。しかし、それでも過剰サービスの勢いは衰えず生産され続ける理由には飲食業界全体を取り巻く悪しき習慣と環境との根深さにあるといえます。

 

 

Case3.口コミサイトによる “過剰評価”

ですが、今回取り上げるテーマは

そしてもうひとつが口コミサイトによる過剰評価です。スマートフォンの普及に伴い、誰でも簡単に自分の意見を発信できるようになりました。食事内容や接客レベルを率直に綴るレビューは広告要素がないためダイレクトな集客を期待できます。冒頭でもあったSNSも正にその例です。

しかし、消費者目線でしか書かれないレビューが多いのも事実であり、自分の好みにそぐわないものには平気で「嫌い」の一言で済ましてしまうレビューもあります。悪評を嫌う飲食店はレビューに縛られ、結果として過剰なサービスを余儀なくされるのです。SNSは新たな集客の ”種” となった反面、過剰サービスを生む ”種” であるともいえるのです。

 

 

最後に

Case3をご覧になって、過剰サービスの不自然さを感じて頂けたのではないでしょうか?

「サービスは、して当然。されて当然。」という考え方ではどちらにしても満足感を得ることができません。また過剰サービスがこのまま進めば本来必要とされるサービスの質低下にもつながり、あらゆる面において悪影響を及ぼす可能性が極めて高くなるでしょう。

「ここまでがサービス。ここからが過剰。」と定義しにくものではありますが、お店を通じて伝えたいもの(コンセプト)がはっきりとしていれば、求められるものもおのずと見えてくるはずです。守りではなく、攻めのサービスが結果としてクレームの防止にもつながるはずです。大掃除と一緒に余分な過剰は年内中に落として新しい年を迎えましょう。

 

 

img_7299Webライター山崎達弥
1979年12月12生。新潟県出身。メニューデザイン研究所メディアの専属ライター。フードアナリスト3級取得。今年の新米の出来も上々です。食べることと、飲食店さんをこよなく愛する山崎が執筆させて頂きました。