食中毒のリスクは夏だけのものではありません。実は秋にも多く発生しています。秋にかけて発生しやすい食中毒があるのも事実です。この記事では飲食店が対策すべき予防策をまとめます。

秋に食中毒が発生しやすい理由とは?

食中毒のピークは6月から8月にかけて多くなると思われがちです。しかし、実際に最も多く発生しているのは9~10月にかけての時期です。

食中毒統計

引用:平成26年 東京都食中毒発生状況(確定値)

 

夏バテが抜けずに免疫力が低下

秋にかけて食中毒が発生しやすい理由として挙げられるのが、免疫力の低下です。今年の夏も猛暑が列島各地を襲ったことで、9月に入っても夏バテを引きずり、体力が低下している人は少なくありません。さらに秋に入ると気温は低下し、その温度差に体がうまく適応できず、体調を崩しやすくなります。このことが、秋に食中毒が発生しやすくなる下地となっていると考えられます。

 

秋に注意したい食中毒と症状

秋に多く見られる食中毒の原因菌には次のようなものがあります。症状としては、いずれも下痢や嘔吐、吐き気、腹痛、発熱などを伴います。

カンピロバクター菌

カンピロバクター菌は牛や豚、鶏など多くの動物が保有しています。中でも多いのが鶏肉です。鶏肉を調理する際は、十分に加熱してください。潜伏期間は2~5日です。

腸管出血性大腸菌

O-157などの腸管出血性大腸菌によって発症する食中毒です。大腸菌は家畜や人の腸内にも存在し、ほとんどが無毒ですが、そのうち出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群を起こすものを腸管出血性大腸菌と呼びます。生や加熱が不完全な状態の食肉が主な原因になります。潜伏期間は2~8日程度です。

サルモネラ菌

夏から秋にかけて多く、食肉や生卵が主な原因です。加熱が十分でない場合、発症しやすくなります。犬や猫などのペットから感染することもあるため、ペットに触れた後は忘れずに手を洗いましょう。潜伏期間は半日から3日程度です。

腸炎ビブリオ菌

生魚や貝など、主に魚介類が原因です。また、生の魚介類を調理した後、調理器具や手指などを介して汚染された食品でも食中毒が発生します。真水や熱には弱い性質があり、潜伏期間は短く、6~12時間程度です。

ウェルシュ菌

無酸素状態でも増殖します。煮込み料理が原因となるケースが多く見られ、カレー、シチュー、スープなどを大量に調理する給食施設などで発生することもあります。時間をおいてから食べる場合は鍋のまま常温で放置せず、速やかに冷蔵庫に入れましょう。潜伏期間は短く、6~18時間程度です。

自然毒

秋は旬を迎えるキノコやふぐにも注意です。食中毒を起こすキノコは、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、テングタケなどです。また、ふぐによる食中毒は致死率が高く、当然のことですが素人判断での調理は禁物です。

 

食中毒を防ぐ3原則

食中毒防止の3原則

食中毒を防ぐには「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つが原則です。

1つけない(洗う、密閉する)

手にはさまざまな雑菌が付着しています。調理や食事の前、残った食品を扱う前には十分に手を洗います。まな板などの調理道具も、しっかり洗浄してください。残った生肉の保管は密閉容器かラップを使用し、菌が他の食品につかないようにしましょう。

2増やさない(低温で保存する)

細菌の多くは高温多湿になると増殖が活発化します。しかし、10℃以下になると増殖のスピードは鈍り、マイナス15℃以下では増殖が停止します。食べ物に付着した菌を増やさないためには、冷蔵庫を活用して、低温で保存することが重要です。

3やっつける(加熱処理する)

ほとんどの食中毒菌は加熱によって死滅します。肉や魚、野菜なども加熱すれば安全です。特に肉料理は中心部までよく加熱してください。中心部を75℃以上で1分間、加熱するのが目安です。また、包丁やまな板などの調理道具も洗浄後に熱湯で殺菌することを心がけましょう。

 

食中毒を起こさない具体策

3原則の①つけない(洗う、密閉する)でも紹介したように、衛生管理の基本は手洗いです。素手で体に触れた際、清掃作業やトイレの使用後、ゴミ処理をした後は、手洗いの必須化を徹底しましょう。それ以外にも30分~1時間に1回は手を洗うことを習慣付けましょう。手洗い用のチェック表を準備して、従業員同士でチェックする仕組みを準備しておくことも効果的です。

また、重要となるのが洗い方です。ハンドソープと爪ブラシを使い、爪の中の汚れを落として、十分な時間をかけて洗い流し、ペーパータオルで水分を拭き取ります。洗い方マニュアルを紙面にして手洗い場の見えるところに貼っておくこともよいでしょう。

キッチンでは作業台の清掃をこまめにおこない、まな板やダスターは毎日閉店後に洗浄・殺菌をして乾かすことで、細菌が発生しない環境を作ることが重要です。冷蔵庫や油汚れの付く設備、排水溝のグリーストラップなどもチェック表を活用して、定期的に清掃作業を行いましょう。

 

まとめ

対策の例をいくつか紹介しましたが、衛生管理の客観的な評価を専門業者に依頼することも検討しましょう。定期的に検査を行い、その評価と改善策を提示してくれるため、衛生管理の水準を上げるためには有効です。また、万が一食中毒が起きてしまったときの初期対応マニュアルや、生産物賠償責任保険への加入も検討しておきましょう。

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