見えないメニューに喋るメニュー!? 高回転の秘訣は1時間以上いると帰らされるから

京都在住時に何度か訪れた居酒屋、京阪三条近くの「伏見」さんをご紹介します。
客席数20ほどのカウンター席のみ。正直、清潔感はあまり感じられない、昭和感が漂う飲み屋さんですが、外国人観光客にも人気の、行列の絶えない超人気店です。

勝手に推測する人気の理由は、
1. 美味しい!
2.安い!
3.一度会ったら忘れられない、インパクト最大級の名物おばちゃん(=店主、推定75歳?)

です。では店内へ。

 

 

暖簾をくぐってからの衝撃

暖簾をくぐってからの衝撃

店内は、市場の競りのような活気に溢れた店。満席?と思いきや「もうちょっとこっち詰めたってくれるー、ほんなら今来はったお客さんら座れるやろー」と威勢の良い元気なおばちゃん(=店主)。座れますが、隣の見知らぬ人と肩は確実にふれあいます。

カウンターが調理場を囲むレイアウトのため、中央で高速スピードで俊敏に動くおばちゃんと、時々怒鳴られながらテキパキ動く若い従業員さんたちを眺めながらの食事がスタートです。

 

 

見えないメニュー 喋るメニュー

見えないメニュー喋るメニュー

メニューは、卓上に置いてある紙一枚ものと、壁に貼られたものとあるのですが、座る位置によっては壁のメニューは見えません。この雑な感じがお店にぴったり!卓上メニューも年代を感じるとてもレトロな雰囲気。壁一面にぎっしり貼られたメニューが、賑やかな店内にとてもマッチして良い感じです。

また荒々しくもどこか憎めない書体からは、おばちゃんの声が聞こえてきそうなほどに生きたライブ感がこの短冊メニューからも伝わってくるのです。

 

 

独特なオーダーシステム

独特なオーダーシステム

伏見さんの変わった注文方法を箇条書きでご紹介します。

 

・頼んでもいない料理がどんどん出てくる

「今日はカツオめっちゃ美味しいから、ほら食べときや~。」とおばちゃんが差し出すカツオ。「どうしようかな~?」と悩んでいると、もうそのカツオはカウンターに置かれていたりします「・・・」「う~ん、カツオは今日はいいかなぁ。」と勇気を出して断ると、「いや~ん、食べてよ~。」とやや強引。でも勧めてもらう物は全て確かに美味しい!!

 

・売り切るから食材ロスがゼロ

お客さんが注文した揚げ物の残りや、お造りの余りなどを、「カンパチ今さばきたてのん、まだあるでー、2人分!他誰かいらんー?」の一声で、あちらこちらから「あ、ください!」「私もらう~」といった手売りで即、在庫完売スタイル。食品の無駄が出ず、一番美味しい時に振る舞え、とても効率的だな~と感心。

 

・キラーメニューはお隣さんの料理

お客さんへお料理を出すとき「この天ぷらこの塩でこうやって食べやーめっちゃ美味しいからー。ほら、揚げたて!」と必ず一言そえてくれます。それを見た周りのお客さんたちが、「美味しそう~同じのくださいー」などといったお隣の料理を見て欲しくなる便乗スタイル。一番美味しい食べ方を教えてもらえるのはありがたい。

 

 

怒られるサービス

怒られるサービス

独特なサービスをこちらも箇条書きで。

 

・母の様なサービス

注文した焼魚の余った骨を、「これも揚げたるから美味しいし食べー。」お造りのけんを残しているとおばちゃん自ら箸で集めてくれて、「これがお美味しいのに残したらもったいない。最後まで食べ!」とちょいと怒られたりもします。お母さんみたいです。

 

・1時間以上はお断り

「1時間以内」の張り紙もあり、おしゃべりばかりで長居していると退席を求められます「・・・」外で待ってるお客さんがいるのでごもっとも。他には声の高い人お断りのような張り紙もあったような「・・・」

 

・優しい母の一面も

お客さんがお誕生日だとわかると、そっとお店からワインボトルをあけてお客全員に振舞ってくれ、みんなで乾杯♪時折粋な優しさを見せてくれる太っ腹なおばちゃん。

 

 

最後に

決して落ち着いて友人と語り合える店ではないですが、しばらく経つと「おばちゃん元気かなぁ~」口は悪いけど、人情味溢れる店主が懐かしくて、また訪れたくなる不思議な魅力のお店です。おばちゃんの笑顔を見たくて私もついつい「生ビール 大!」(いつもは生中)。

お店の個性=店主の個性というオリジナリティー。伏見さんでは、店主の個性がお店の内装、お料理、メニュー、サービス、全てに現れている気がします。有名店より自分だけの馴染みのお店。路地裏のやっと見つけたお店。便利な時代だからこそ不便さを新鮮に感じたり、店主の顔が見えなくても、その想いが伝わってくると何だか嬉しい。どこか懐かしくて温かさが染みるお店に、最近惹かれています。

最後まで読んでいただいたのに恐縮ですが、残念ながら60年続いた老舗の伏見さんが、昨年、お店のご都合で閉店になったそうです。

 

引用:画像は全て食べログさんより

 

 

img_7299デザイン書道家  ハリス
神戸市北区生まれ。いつかスペインに住みたいのでスペイン語をのんびり勉強中です〜。行った事はないですが。