飲食店のインバウンド(英語・中国語)メニューの実態

インバウンドメニューの実態

今回は、インバウンド(英語・中国語)メニューの実態に迫ります。インバウンド市場は飲食店にとっても大きなチャンスです。でも英語がしゃべれないからと初めからあきらめていませんか?英語が話せなくても多くの外国人客をメニュー表で集客する飲食店が実在します。そこでポイントとなるインバウンド(英語・中国語)メニューを調査しました。

 

 

増加する訪日外国人観光客数

訪日外国人観光客推移

出典:日本政府観光客(JINTO)年別外客数、出国日本人の推移 日本政府観光局:2017年1月17日プレスリリースより㈱グローバルブレインスクエア作成

訪日した外国人観光客数を表したグラフですが、統計を開始した2000年から2016年までの旅行者は5倍近くにも増加して約2,500万人まで達成しています。2,500万人とは一体どれくらいの規模でしょうか?分かりやすく例えると東京都の人口が927万人ですが、この東京の人口の2.7倍の数が約2,500万人となります。

統計_01

たった1年の間に、東京都民の約2.7倍もの旅行者が2016年に訪れたのです。このスケール感伝わりますでしょうか?

 

 

外国人観光客の関心は「食」

インバウンド検索グラフ

外国人観光客と同じく伸び続けているものが、『食』に関する検索です。Googleの検索動向によると、世界からの「日本」に関するインターネット検索量は年々増えていることが分かります。その検索内容は「ファッション」や「観光」というキーワードを大きくひきはなして、『食』がダントツで1位であることが見て分かるのです。

統計_02

外国人から見た日本の関心が『食』に向いていることは飲食店には朗報です。しかし、2,500万人という、いわば新規顧客を目の前に今までと変わらぬ対応で観光客を呼び込めるでしょうか?

当然答えはNOです。

日本食に興味を持っていたとしても、 全ての人が日本語に長けているとは思えません。 そこでインバウンド(英語、中国語)に対応したメニューを導入することで、集客につなげることが可能です。

 

 

言語別検索都市ランキング

都市別統計

2016年のインバウンド観光地検索ランキング:Googleブログより

Googleの「言語別インバウンド地名検索ランキング」によると、英語・中国語圏はともに、「東京」より「大阪」の伸び率が上回っていることが読みとれます。

統計_03

これはインバウンドの玄関口が関東から関西に移行してきていることを意味します。「食の都」と呼ばれる大阪が世界的にも脚光を浴びだしていることが言えるのです。大阪では一体どのようにして英語・中国語圏の観光客に対応しているのでしょうか?

 

 

大阪 道頓堀のインバウンド事情を調査

戎橋周辺

修学旅行や観光スポットとして日本人にはおなじみの大阪道頓堀ですが、大阪随一の食の歓楽街としても人気です。現に食い倒れストリートの異名を持つこの通りで、一体どれだけの英語・中国語メニューがあるのでしょうか?リアル調査の一部始終をご覧ください。

インバウンドメニュー1

左から英語・中国語(簡体中文)・中国語(繁体中文)のパンフレット


インバウンドメニュー2

4ヶ国語に対応したランチメニュー

スタート地点の、かに道楽ではパンフレット以外にも4ヶ国語に対応したメニューを展開。

 

インバウンドメニュー6

ご当地料理も英語・中国語で翻訳されているプライスカード

浪速のソウルフード「粉もん」は今では世界の 「粉もん」に!?

 

インバウンドメニュー3

英語・中国語・韓国語の翻訳がついたプライスカード

商品サンプルがあるにも関わらず、日本語以外の英語・中国語・韓国語が記載されたプライスカードが全商品につく徹底ぶり。

外国人観光客_3

和食に興味を持つ外国人観光客

足をとめてじっくりと吟味する外国人観光客。その後、二人は来店することに。インバウンドメニューがあることで目と足をとまらせ集客効果を発揮していました。

インバウンドメニュー4

中国語・韓国語でターゲットを明確に打ち出した店頭看板

新鮮な海鮮を求めて日本にやってくるアジア諸国の観光客をターゲットにした店頭看板。大きな写真と日本語よりも大きな中国語と韓国語がとても印象的でした。

 

5分で分かるインバウンドメニュー調査 

道頓堀センターストリートの入り口から約30mの間に存在するインバウンドメニューを調査しました。

 

 

 

インバウンドメニュー導入店舗に取材

暴れ牛店頭

2016年1月のリニューアルされた際にインバウンドメニューの導入を行った「暴れ牛」さんに取材してきました。

「暴れ牛」オーナーの富田さん

2015年には流行語大賞にもなった『爆買』はその時既に陰りはあったものの、旅行者の関心は『食』へ移ると見据えた上での導入でした。

 

英語メニュー(例1)

刺身メニュー

タイトルと説明文に英語翻訳が記載されています。

インバウンド拡大2

霜降り和牛のタタキがメニュー左上に大きく目立っています。食べる所を想像してしまう程に、美味しそうな写真に心を掴まれます。写真の大小でお店からのメッセージもはっきりしているようでした。

 

英語メニュー(例2)

瓦焼きメニュー

 

タイトルと説明文に英語翻訳が記載されています。

インバウンド拡大1

日本語メニューには、英語の表記が商品ごとに設けられています。これ以外にも中国語・韓国語に翻訳された別冊のメニューブックも用意されているため、注文で時間をとられていたスタッフオペレーションの緩和にもつながったそうです。

 

導入後の反応とは?

富田オーナー
インバウンドメニューは写真の効果が絶大であることを実感しました。商品写真を多く入れることで視認性に優れたメニューとなり、大小をつけることで出数比率もほぼ狙い通りにコントロールが可能になりました。また各言語に対応させたことで外国人観光客の方に安心感を与えることができました。さらにメニューへの理解が深まり、1~2品の注文数がアップし、インバウンド対策が結果として客単価のアップとなりました。

導入店舗取材先 暴れ牛 

 

 

まとめ

まとめ

訪日外国人観光客数は年々増加し食への関心も高まっているのに対して、観光地でのインバウンド対応は進んでいます。実際に私たちメニューデザイン研究所にも、インバウンド(英語、中国語)メニューの制作依頼が多くなっています。

今後も日本への関心は同時に『食』へとシフトしていくことでしょう。速やかなインバウンドメニューへの『対応』が飲食店には求められているのです。しかしながら、観光地から少しはなれた場所にある飲食店ではインバウンド対応がまだまだ遅れているようです。

何から先に始めたら分からないという方は、一番身近なメニューを見つめなおし、インバウンドメニューへの対応をはかることが新たな需要獲得へとつながることでしょう。

それは既に “対策” ではなく、 “対応” といった局面を飲食店さんは迫られているのですから!

山崎 達弥Webライター山崎達弥
1979年12月12日生。新潟県出身。メニューデザイン研究所メディアの専属ライター。一途にご繁盛を想う山崎が執筆させて頂きました。