【黙秘するメニュー】鳥酎が教えてくれた本当のこだわり

巷では◯◯鶏と言った銘柄鶏や、名古屋コーチン、比内地鶏といった地鶏を謳った焼き鳥、鶏料理のお店が当たり前になっています。その一方で、国産ブロイラー鶏を使いながら幾重の細かなこだわりにより、素材を超える焼鳥を提供する大繁盛のお店があります。そこは「酒ぐら鳥酎」。いわる焼鳥大衆酒場です。人気店のこだわりを取材してきました。

 

 

お客さんを楽しませる、を楽しむスタッフたち

お客さんを楽しませる、を楽しむスタッフたち

入ると店内は会社帰りのサラリーマン、若めの女性グループで一杯。大衆酒場の熱気に包まれていました。事前予習したお店のこだわりをメニューブックで確認しようと開きます。

。。。

何も書いていません「。。。」事前に調べたこだわりポイントが全く書いてありません。“硬いことは抜きにして食べたいものを頼んで。”そんな無言のメッセージがメニューから感じられます。

とりあえず、評価の高い白レバー串を注文し、あとは5串盛り合わせ等を頼みました。スタッフは注文時にお店の利用は初めてか?お酒は何を飲むか?などを聞きながらオーダーテイクを進めて行きます。その後どう楽しませようか?を考えているのでしょう。嫌味な感じは全くありません

他のスタッフも店内が常に満席でも殺伐とすることなく、お客さんと談笑し楽しんで仕事をしている印象です。ここにはお店のペースがあり、そのペースにお客さんも合わせる。そんなムードが心地よいです。

 

 

食べれば伝わる、その心遣いと技

食べれば伝わる、その心遣いと技

白レバー串は、胡麻油が添えられています。一口食べて素人の私でも分かる程の絶妙な焼き加減です!例えるなら、備炭の香りでスモークしたフォアグラのようでした。焼き手さんの技に感動するなか、5串盛り合わせが届きます。しかし塩の3串しか来ません。塩串を食べ終わった頃、遅れて運ばれてきた残りのタレ串を当然のように美味しく食べた時に、その心遣いに気付きました。最高の焼き立てを食べてもらう工夫だったのです。しかしそんな説明はありません。

満員のお店ですから、5串を一度にの方がオペレーションは楽です。しかし、それを当たり前にこなすスタッフに感動しました。きっと大衆酒場のお客さんはそんな事をいちいち考えないでしょう。しかし、ここの焼鳥は美味しい!は当たり前に気付くのです。そこが繁盛店の底力だと思い知りました。

 

 

こだわりを謳わない、こだわり

こだわりを謳わない、こだわり

国産ブロイラー鶏ではあるものの、朝引きにこだわられていることをスタッフさんに聞いてみます。「よく知ってますね〜。」特にそれ以上語ることはなく、普通の世間話に。

卓上のお醤油からは懐かしい味が!田舎が九州なのですぐに九州のたまり醤油だと気付きました。甘みと丸みのある旨みが刺身によくあいます。しかしそんなことはどこにも書いていません。

お酒も焼酎、日本酒と共に豊富。悩んでいると酒蔵や作り手の熱い想いを答えてくれます。焼酎と日本酒どちらがこだわりありますか?の質問に対しては、

「うちは焼鳥屋ですよ!笑」

この言葉で私の中の全てが繋がりました。朝引き鶏で、醤油は九州たまり醤油、備長炭の遠火で焼いてなどなど。そんなことは美味しい焼鳥を食べてもらうのに知って貰う必要はなく、おいしい焼鳥に、おいしいお酒を合わせて、楽しければそれでいい。その為に私たちは技を磨く。その掛け値なしの直球勝負に感動しました。

 

 

大衆酒場の正義とは何か?

大衆酒場はいろいろな方がいらっしゃいます。年齢も性別も関係性も様々です。だからこそ、個性、主張が突出しすぎると居づらさを感じる層が出てきてしまいます。“焼鳥食べたい時にはうちに来てくれればいつでも楽しませるよ!”というニュートラルさがフラっと寄りたくなるムードを生んでいるのだと思います。

素材が普通鶏なのも、お手頃価格で普段使いできるようにし、気軽に来て欲しいという想いからかもしれません。そこに丁寧な仕事を重ね、地鶏以上の焼鳥に仕上げているのです。

繁盛店の参考にする時に、見た目だけを真似するといったお店が多いですが、是非こういった姿勢、想いこそ真似してもらいたいと思います。そこから、次の繁盛店が生まれることを願っています。

 

 

酒ぐら 鳥酎
東京都港区赤坂2-9-2 松田ビルB1
03-6459-1585

 

 

デザイナー 北條 和善
1977年10月10日生。大分県出身。メニューデザイン研究所東京支社勤務。マイブームは日本酒の北條が執筆させて頂きました。