
ゴーストレストラン、もしくはゴーストキッチンという言葉はご存知でしょうか?
近年、アメリカや中国で流行しているオンラインフードデリバリーサービスを活用した、実店舗を持たない飲食店の事です。
本記事では日本ではまだ珍しいゴーストレストランのメリットやデメリット、今後の展望について書いていきます。
目次
ゴーストレストランとは?
今までもフードデリバリーの文化はピザ屋をはじめ、Uber Eatsなどでも見る事が出来て目新しくありませんが、これらは基本的に店舗運営をしながらデリバリーも行う形態です。
ですが、ゴーストレストランは文字通り実店舗を持たずデリバリーのみで運営する飲食店の事です。
ゴーストレストランはまだまだ伸びていく?
出典:https://www.yumenomachi.co.jp/pr/news/demaekan/18000.html
このグラフは夢の街創造委員会株式会社が運営する日本最大級の宅配ポータルサイト出前館のものです。
登録店舗数が右肩上がりなのが一目で分かりますね。
UberEatsは2016年に日本に上陸したフードデリバリーサービスですが加盟店舗数は2年間でサービス開始時の50から約26倍の4000まで増加してます。
次に、過去の実績と今後の展望を出前館の資料から見ていきます。
出典:https://www.yumenomachi.co.jp/ir_information/files/eir-2.pdf#search=%27出前館+中期計画+連結経営目標%27
これらのデータからフードデリバリーサービスには需要があり、さらに伸びていく事が容易に想像出来ます。
ゴーストレストランのメリット
実店舗を持たないゴーストレストランには様々なメリットがあります。特に個人でこれから飲食店を開業する方には是非知って頂きたいメリットばかりです。
1等地に店舗を構えなくていい
飲食店は立地ビジネスと言われるぐらい運営する上で立地は非常に重要ですが、1等地は当然家賃が高く競争率も高い為借りる事が非常に難しいです。ですが、ゴーストレストランだと1等地に構える必要はありません。店前交通量や最寄り駅の乗降客数など出店する際に必要不可欠なデータも必要ありません。商圏=配達エリアなので実店舗よりも様々なお客様にリーチ出来ます。
ゴーストレストランは様々なコストを抑える事が出来る
1等地に店舗を構えなくていいので、物件取得費、敷金、内装代などのイニシャルコストを大きく抑える事が出来ます。また、家賃も抑える事が出来るのでランニングコストも下げる事が出来ます。その他にも設備代もお客様からは見えないので見栄えを意識した物を用意しなくていいですし、接客も必要ないので人件費も抑える事が出来ます。
ゴーストレストランはイニシャルコスト、ランニングコスト共に実店舗よりも大きく抑える事が出来ます。
ゴーストレストランは天候に左右されずらい
飲食店は天候に大きく左右されるビジネスです。雨の日は売上が半分になる事も珍しくありません。ですが、デリバリーに特化したゴーストレストランは雨の日の方が売上が上がる事もあるぐらい天候に左右されずらいサービスです。
ゴーストレストランのデメリット
ゴーストレストランにはメリットだけでなく当然デメリットもあります。
ゴーストレストランはプラットフォームに依存せざるをえない
ゴーストレストランの運営には出前館の運営するシェアリングデリバリーやUberEatsに依存せざるを得ない為、配送費や広告費をある程度収めなければなりません。また、これらの金額はプラットフォーマーのさじ加減1つで上下する不安要素もあります。
ゴーストレストランは料理の種類が限られる
ゴーストレストランはデリバリーに特化している為、出来たてをお客様に提供出来る訳ではありません。料理が完成してからお客様の口に入るまで何分後になるかも配達員次第となります。なので出来たてしか美味しくない料理の提供はお勧めできず、提供する料理の種類は限られます。
顧客を作る事が難しい
ゴーストレストランはデリバリーという形態から、お客様と直接コミュニケーションを取る事が出来ません。メッセージのやり取りは出来ますが直接のコミュニケーションと比べると繋がりは希薄になります。そしてリーチできるお客様が増えるという事はその分ライバルも増えるので、立地だけで顧客を獲得出来る実店舗よりもゴーストレストランは顧客を作る事は難しくなります。
ゴーストレストランを運営するには
ゴーストレストランを運営する為の代表的なフードデリバリーサービスを紹介します。それぞれ手数料や特色が違うので、自分がやりたいサービスに合った所を選びましょう。
*エリアは細かく分かれているので、該当する県でも利用できない市町村がございます。詳しくはホームページでご確認ください。
シェアリングデリバリー
2018年12月に18,000店舗を突破した、日本最大級の宅配ポータルサイト出前館が運営するデリバリー機能を持たない飲食店でも、デリバリーが可能になるサービスです。
エリア:日本全国
利用料:初期費用が3万5000円、月額費が3000円、オーダー手数料が5%
<HP:https://www.yumenomachi.co.jp>
Uber Eats(ウーバーイーツ)
配車アプリからスタートしたウーバー・テクノロジーズが展開するデリバリーサービスです。36以上の国と地域、350以上の都市で展開していて、世界各地で10万以上のレストランパートナーがウーバーイーツでデリバリーを行っています。日本では2016年9月、東京で事業を開始しました。
エリア:東京、横浜、千葉、川崎、さいたま、大阪、京都、神戸、名古屋、福岡
利用料:初期費用無料、手数料35%
<HP:https://www.ubereats.com/ja-JP/stores/>
FineDine(ファインダイン)
「銀のさら」「釜寅」等の宅配サービスを行うライドオン・エクスプレスがおこなうサービスです。
エリア: 東京、神奈川、埼玉
利用料:未公表
<HP:https://www.finedine.jp>
ゴーストレストランを後押しする軽減税率
ゴーストレストランを後押しするのが消費税増税に伴う軽減税率です。2019年10月に消費税率が10%に引き上げられますが、これは今の所店内飲食に限った事で、「宅配」や「持ち帰り」の商品は軽減税率の導入によって税率が8%に据え置かれることになっています。ガストや元気寿司が宅配や持ち帰り強化というニュースがありましたが、この背景には軽減税率の適応が後押ししています。この2%は飲食店経営には大きなコスト削減となります。
日本でも流行る?ゴーストレストランのまとめ
ゴーストレストランという言葉はまだあまり聞き慣れないかもしれませんが、今後大きく伸びていく市場だと思います。立地至上主義だった飲食店経営が大きく変わろうとしています。料理の質とSNSでの情報発信を上手くやれば、実店舗を持つよりも低リスクで始められるので、これから開業される方はご検討してみてはいかがでしょうか。